フィルム・ノワール ベスト・コレクション DVD-BOX Vol.5
フィルム・ノワール ベスト・コレクション DVD-BOX Vol.5
アメリカ映画史の闇に潜んでいた傑作がいま甦る!!
【ストーリー】
▶DISC1「突然の恐怖」 SUDDEN FEAR (1952年/B&W/110分)
監督:デヴィッド・ミラー 出演:ジョーン・クロフオード、ジャック・パランス、グロリア・グラハム
莫大な遺産を相続する予定の美貌の劇作家マイラは、新作のオーディションで主演候補の新人レスターを推薦されたが採用しなかった。マイラはサンフランシスコの自宅に戻る列車の仲で偶然レスターと再会する。彼は意外なほど好青年だった。二人は急速に結びつき恋に落ち、そして、結婚する。だがレスターは元恋人のアイリーンとマイラの書斎で密会し、財産目当てに結婚したと告げる。しかし、レスターはそこでマイラの遺言書を発見した事から、事態は予期せぬ方向に走り出していく。アカデミー主演女優賞と助演男優賞にノミネートされたクロフォードとパランスの圧巻の演技が光る傑作ノワール。
▶DISC2「マカオ」 MACAO (1952年/B&W/81分)
監督:ジョゼフ・V・スタンバーグ、ニコラス・レイ 出演:ロバート・ミッチャム、ジェーン・ラッセル
楽園と犯罪都市の顔をもつマカオへ向かう船上に3人の男女がいた。謎めいたクラブ歌手のジュリーと風変わりな流れ者ニック、そして、旅行会社のセールスマン、ローレンスだ。3人はそれぞれの思いを胸に香港からやって来たが、マカオに上陸した時からこの町の闇の世界に巻き込まれていく。『替え玉殺人計画』(’51)に続くミッチャム=ラッセルの共演作で、夜の波止場での追跡シーンなどノワール・ムード満載のエンターテイメント。スタンバーグ最後のアメリカ映画となったが途中降しニコラス・レイが後を引き継いだ。作品は’50年に完成したが、RKOの事情で公開は’52年となった。
▶DISC3「暴力の街」 THE LAWLESS (1950年/B&W/83分)
監督:ジョセフ・ロージー 出演:ゲイル・ラッセル、マクドナルド・ケリー、ジョニー・サンズ
大都会の新聞社の記者で権力と闘うのに疲れたラリー・ワイルダーは、小さな町の新聞社の編集者として新たな生活をスタートさせようとしていた。移り住んだ新しい家が気楽で、争いのない暮らしを与えてくれると思っていた。だが、ラティーノ農場労働者の若者が、金持ちの人種差別主義者の若者たちにリンチを加えている場面に遭遇。そのことをきっかけに、ラリーは彼等の権利のために立ち上がろうとする白人は、この町には自分しかいない事に気づく。彼はヒスパニックの労働者向けの小さな週刊紙で働くサニー・ガルシアと一緒に若者たちの命を救おうと奔走する。群衆のルールや理不尽な偏見によっていかに人々の心は揺れ動くのか。’50年代初期に『不審者』『大いなる夜』などのノワールを発表したロージーの見事な手腕により完成された緊迫感溢れる社会派フイルム・ノワール。
▶DISC4「女囚の掟」 CAGED (1950年/B&W/96分)
監督:ジョン・クロムウエル 出演:エリノア・パーカー、アグネス・ムーアヘッド、エレン・コルビー
19歳で新婚のマリー・アレンは、強盗幇助の罪で女子刑務所に送られた。9ヶ月で仮釈放になる判決だったが、刑務所は想像を超えた非情な場所だった。容赦のない看守や暴力的な女囚たちの言動、ひっきりなしに鳴るベルや鉄格子の音。マリーは万引きで服役しているキティと知り合う。キティはマリーに刑務所で生き残るための知恵をアドバイスしていく。だがマリーは刑務所のひどい状況の中で、小心者の小娘から次第に本物の犯罪者の顔を持つ囚人に変身していく。手堅い作風で知られるクロムウエルが刑務所を舞台に描いたたノワールの傑作。製作のワーナーは当初マリー役にベティ・ディヴィスを考えていたが、彼女が辞退したためエリノア・パーカーが出演。結果的に演技力に定評のあるパーカーがマリーを熱演、ヴェネツイア映画祭で主演女優賞を獲得した他作品はアカデミー賞三部門でノミネートされている。
▶DISC5「深夜の歌声」 ROAD HOUSE (1948年/B&W/95分)
監督:ジーン・ネグレスコ 出演:アイダ・ルピノ、リチャード・ウイドマーク、コーネル・ワイルド
カナダとの国境近くでボーリング場を併設したナイトクラブを経営する、オーナーのジェフティは親友のピートに店の経営を任せている。ある時、ジェフティはクラブのシンガーとして、タフでセクシーな女リリーを6週間の契約でシカゴから連れて来る。そんなリリーにジェフティはぞっこんになるが彼女はつれない。ある夜ピートが酔客から身を挺してリリーを守った事から、二人は急速に近づき絆を深めてゆく。だがジェフティの心は嫉妬で押さえきれない狂気の顔がのぞかせ始め次第にエスカレート、物語は破局的な局面へと突き進んでいく。二人の男が一人の女に惚れ込んだ事から生まれる憎悪と悲劇を描いたノワールの秀作。監督としても『ヒッチ・ハイカー』などの異色のフィルム・ノワールを手がけているアイダ・ルピノがリリーを好演。前年『死の接吻』の殺し屋役で鮮烈のデビューを飾ったウイドマークが狂気のクラブオーナー役を完璧に演じている。ネグレスコの演出と『アパートの鍵貸します』などの名カメラマン、ジョセフー・ラシェル見事な撮影が印象的だ。
▶DISC6「悪魔の往く町」 NIGHTMARE ALLEY (1947年/B&W/110分)
監督:エドマンド・グールデイング 出演:タイロン・パワー、ジョーン・ブロンデル、コーリン・グレイ、ヘレン・ウオーカー
職を転々として来たスタントン・カーライルはある町で見世物小屋で働く事になり、偽読心術師のジーナとその夫でアル中のピートと組む事になった。スタントンは以前、彼等が暗号を使った読心術で一斉を風靡した事を聞きつけジーナに二人で組む事を提案するが、ジーナは夫は暗号を絶対教えないという。ジーナは夫のアル中治療のため、その暗号を売って入院させようと考えていたのだ。ある夜スタントンは仲間から酒を買い、ぶらりと現れたピートに酒を渡す。すでに禁断症状がでていたピートはその酒を煽るが、それはジーナがショーで使うアルコールをスタントンが内緒ですり替えたものだった。ピートは翌日、亡くなる。そして二人は暗号を使ったイべントで大人気を博していくが、スタントンの助手としてモリーが現れた事から事態は思わぬ展開を見せていく。口八丁手八丁のスタントンをタイロン・パワーが熱演。『グランド・ホテル』などのグールデイングが人間飽くなき底知れぬ欲望を赤裸々に描いた評価の高い傑作。
▶DISC7「ラケット」 THE RACKET (1951年/B&W/88分)
監督:ジョン・クロムウエル、ニコラス・レイ他 主演:ロバート・ミッチャム、ロバート・ライアン、エリザベス・スコット
舞台はアメリカ中西部の大都市。マフィアによる犯罪や収賄に危機感を抱くマッキーグ警部は、組織の一掃を計ろうとする。姿を現さない黒幕オールド・マンの存在に脅かされながらも、マッキーグはスラム育ちの幼なじみだったギャングのスキャンロンを追いつめていく。自宅を爆破され妻に怪我を負わされながら、ほとんど無表情で正面から突き進む正義漢警部マッキーグ。彼とは対照的に、部下の言葉一つにも神経を尖らすスキャンロン。そして、二人を利用しようとする判事や市の政治家たち。脛に傷を持つ人間達がうごめく、闇の世界を切り取ったバーネット・コーマックの舞台劇をクロムウエル他がリメイクしたノワール。
▶DISC8「黒い河」 DARK WATERS (1944年/B&W/90分)
監督:アンドレ・ド・トス 主演:マール・オベロン、トーマス・ミッチェル、フランチョット・トーン
海難事故で両親を失った石油財閥の相続人レスリー・カルバンは、安息の場所を求めまだ一度も会った事のない叔父と叔母を訪ねていく。その家は、アメリカ南部ルイジアナにある人里離れた河の入り江にある、今は使われてない砂糖プランテーションの中にあった。彼等は変わり者だったが、無害な人間に思えた。だが家を訪ねてくる白いスーツの客人や、薄気味悪い管理人などの存在が気になりだした頃、いつも木陰から現れる元使用人からこの家にまつわる不気味な物語を聞く。それからと言うもの、レスリーの心は次第に揺れ動いていき、夜になると不思議な声を聞くようになる。安息の地とはほど遠い環境の中で彼女は恐怖に慄き、狂気に陥っていく。彼女を救えるのは地元の若き医師だけだった。1940年代のルイジアナの深い沼地を舞台に描かれた陰惨なムードに満ちた幻覚的なゴシック・ノワールの佳作。
【キャスト】
ジョーン・クロフオード、ジャック・パランス、ロバート・ミッチャム、ジェーン・ラッセル他
【スタッフ】
監督:ジョゼフ・V・スタンバーグ、ニコラス・レイ、ジョセフ・ロージー 他
【コピーライト】
発売元・販売元:株式会社ブロードウェイ
【発売日】2014年10月3日
モノクロ/1944~52年アメリカ/英語/字幕:日本語/トールケース8枚組/収録時間:約753分/原題:各資料参照
価格:¥18,000+税